ストリートトリプル765に「RX」と「Moto2エディション」が追加
・トライアンフが「Street Triple 765」シリーズに、新たにStreet Triple 765 RXとStreet Triple 765 Moto2 Editionの2モデルを追加しました。どちらもベースは現行のStreet Triple 765 RSで、エンジン出力はそのままに、足まわりとポジションをよりサーキット寄りに振った派生モデルです。
・RXは期間限定販売の特別仕様車、Moto2 Editionは世界限定1,000台(日本割当95台)のコレクターズモデルという位置づけになっています。エ
・エンジンは共通で、Moto2直系の765cc 3気筒は130PS / 80Nmです。
ベースモデル:「Street Triple 765 RS」のおさらい
・ベースとなるStreet Triple 765 RSは、2023年モデルで大幅にアップデートされた「現行RS」です。
・Moto2マシン開発で得たノウハウを市販車にフィードバックしたモデルで、主要なポイントは次のとおりです。
- エンジン:水冷DOHC 3気筒 765cc、最高出力130PS / 12,000rpm、最大トルク80Nm / 9,500rpm
- サスペンション:フロントはShowa製41mm倒立BPF、リアはÖhlins STX40ピギーバックモノショック
- ブレーキ:フロント310mmダブルディスク+Brembo Stylemaラジアルモノブロックキャリパー、リア220mmディスク
- 電子制御:IMU搭載のコーナリングABS&トラクションコントロール、5モード(Rain / Road / Sport / Track / Rider)
- 装備:フルカラー5インチTFTメーター、トライアンフシフトアシスト(アップ&ダウンクイックシフター)など
・ハンドルは一般的なバーハンドルで、サーキットもワインディングもこなせる「ハード寄りのネイキッド」というキャラクターでした。
新型Street Triple 765 RXの変更点
新登場のRXは、「RSをサーキット寄りに仕立て直した」ようなパッケージです。
・大きく変わったのは足まわり・ポジション・外装の3点です。
- フロントサスペンション:ShowaからÖhlins NIX30に変更(フルアジャスタブル、ホイールトラベル115mm)
- リアサスペンション:RS同様Öhlins STX40(ホイールトラベル131.2mm)だが、前後ともオーリンズで統一
- ハンドル:バーハンドルからセパレートハンドル(クリップオン)へ変更。これにより肩幅が絞られ、前荷重なポジションに
- 車体ディメンション:ハンドル幅が765mmまで狭まり、ホイールベースは約1397mmとRSよりわずかに短い。シート高はRS比で数mm高い839mmに設定
- ブレーキ・電子制御:ブレーキ構成やIMU+電子制御は基本的にRSと同じ。ABSにはTrackモードを備える
- タイヤ:ピレリ Diablo Supercorsa SP V3(RSと同じハイグリップタイヤ)
・外観面では、RX専用のマットアルミニウムシルバー塗装に、ディアブロレッドのサブフレームとホイールを組み合わせたレーシーなカラーリングが特徴です。
・トップブリッジはビレット削り出しでRXロゴがレーザー刻印され、シートもRX専用パターンとなっています。
・エンジンや電子制御のハードウェアはRSと共通なので、「パワーはそのまま、乗り味をサーキット寄りに尖らせたRS」と考えると分かりやすいと思います。
Street Triple 765 Moto2 Edition:RXとの違いや先代Moto2 Edi.からの進化
・Street Triple 765 Moto2 Editionは、RXと同じメカニズムをベースに、さらにMoto2直系の外装と仕立てを加えた限定モデルです。
・2023年に登場した先代Moto2 Editionのコンセプトを受け継ぎつつ、カラーリングと限定台数が見直されています。
- メカニズム:エンジン出力・サスペンション・ブレーキ・電子制御はRXと基本共通(130PS / 80Nm、前後Öhlins、Brembo Stylemaなど)
- ポジション:RX同様クリップオンハンドル+高めのシート(839mm)で、かなりスーパースポーツに近い前傾姿勢
- 外装パーツ:
- カーボンファイバー製サイドパネル、ベリーパン(アンダーカウル)、ヘッドライトフィニッシャー
- カーボン調のテールまわりとクリアレンズテールランプ
- Moto2専用ディテール:
- Moto2ロゴ入りのタンク・シート・サイレンサー
- 個別シリアルナンバー入りビレットトップブリッジ
- Moto2専用アニメーションを持つTFTメーター起動画面
- カラーリング:ミネラルグレーとクリスタルホワイトをベースに、トライアンフ・パフォーマンスイエローのサブフレームとホイールストライプを組み合わせたレーシングカラー
- 限定台数:世界限定1,000台、日本向け割当は95台
・先代(2023年)Moto2 Editionと比べると、公式スペック上はエンジン・足まわり・ディメンションはほぼ同一で、主な違いはカラーリングや限定台数の整理、最新のMoto2カラーへのアップデートといえます。
・つまり「中身は完成度が高かった先代のまま、外観と限定モデルとしての価値を今シーズン仕様に仕立て直した」ような立ち位置ですね。
*ただ、例の29台ニューモデルの中にこれも入っているわけなので、うーん。もう少し強めのチェンジ感がほしかったというところでしょうか。全然かっこよくていいんですけどね!
主要諸元比較:RS / RX / Moto2 Edition
・現行RSと新型RX・Moto2 Editionの主要諸元
| 項目 | Street Triple 765 RS(2023) | Street Triple 765 RX(2026) | Street Triple 765 Moto2 Edition(2026) |
|---|---|---|---|
| 全長 | 約2050mm | 2051mm | 2051mm |
| 全幅(ハンドル) | 約790mm(バーハンドル) | 765mm(クリップオン) | 765mm(クリップオン) |
| 全高(ミラー除く) | 約1060mm | 1051mm | 1051mm |
| ホイールベース | 約1400mm | 1397mm | 1397mm |
| シート高 | 836mm | 839mm | 839mm |
| 車両重量(装備重量) | 189kg | 188kg | 188kg |
| 燃料タンク容量 | 15ℓ | 15ℓ | 15ℓ |
| エンジン形式 | 水冷DOHC 3気筒 765cc | 水冷DOHC 3気筒 765cc | 水冷DOHC 3気筒 765cc |
| 最高出力 | 130PS / 12,000rpm | 130PS / 12,000rpm | 130PS / 12,000rpm |
| 最大トルク | 80Nm / 9,500rpm | 80Nm / 9,500rpm | 80Nm / 9,500rpm |
| フロントサスペンション | Showa製41mm倒立BPF(フルアジャスタブル) | Öhlins NIX30倒立フォーク(フルアジャスタブル) | Öhlins NIX30倒立フォーク(フルアジャスタブル) |
| リアサスペンション | Öhlins STX40ピギーバックモノショック | Öhlins STX40ピギーバックモノショック | Öhlins STX40ピギーバックモノショック |
| フロントブレーキ | 310mmダブルディスク+Brembo Stylema 4ピストン、ABS | 310mmダブルディスク+Brembo Stylema 4ピストン、ABS(Trackモード付) | 310mmダブルディスク+Brembo Stylema 4ピストン、ABS(Trackモード付) |
| リアブレーキ | 220mmシングルディスク+Brembo 1ピストン、ABS | 220mmシングルディスク+Brembo 1ピストン、ABS | 220mmシングルディスク+Brembo 1ピストン、ABS |
| 前後ホイールサイズ | 前後17in | 前後17in | 前 17in × 3.5J / 後 17in × 5.5J |
| タイヤサイズ(前/後) | 120/70 ZR17 / 180/55 ZR17 | 120/70 ZR17 / 180/55 ZR17 | 120/70 ZR17 / 180/55 ZR17 |
・こうして並べると、エンジンと基本骨格は3車とも共通で、RX/Moto2 Editionは「RSのパワーそのままに、ポジションと足まわりをサーキット向けに特化させた仕様」であることが分かります。
日本での価格と発売時期
・日本向けの価格と発売スケジュールは、現時点で次のようにアナウンスされています。
- Street Triple 765 RX:税込1,735,000円、2025年12月上旬発売予定(販売期間1年の特別仕様車)
- Street Triple 765 Moto2 Edition:税込1,995,000円、世界限定1,000台のうち日本割当95台、2026年3月以降デリバリー開始予定
・いずれもベースのRSより高価ですが、前後Öhlins+クリップオン+専用外装という内容を考えると、「デイトナ765的なパッケージを正規ラインで買える」という意味では、納得感のあるプライシングと言えそうです。
まとめ:RSの完成度をベースに「デイトナ765」の穴を埋める2台
・今回のStreet Triple 765 RXとMoto2 Editionは、あくまでRSの延長線上にあるサーキット志向の派生モデルです。
・エンジンや電子制御はすでにRSで高い完成度に達しているため、トライアンフはあえてパワーアップではなく、ポジションと足まわりで「別キャラ」を作り分けてきた印象があります。
・フルカウルの765を待ち望んでいた層にとっては、DaytonaネームでミドルSSを出してほしいですね。