F.B Mondial(F.Bモンディアル)とは?
・1926年、イタリアのミラノで設立された「F.B Mondial(エフビー モンディアル)」。名前の「F.B」は「Fratelli Boselli」の略であり、「Fratelli(フラテッリ)」は「兄弟」、「Mondial」は「世界」といったニュアンスのイタリア語です。つまり「Boselli(ボセリ)兄弟」が作った「世界に」通用するバイク会社、「世界に」羽ばたくくらいでっかくなるぞ、俺たちのワールドを見せてやろうぜ!といった意思がこもっているのではないでしょうか。……「Mondial」部分については勝手な推測なので当てにしないでください。
・しかし、彼らの「世界」は唐突に終わりを迎えてしまいました。設立から約35年後の1960年、すべてをモンディアル生産品だけで作ることはできなくなり、その後しばらくの間は、エンジンを外部から調達し、フレームなどそれ以外についてはモンディアル自身が関与したバイクを生産していました。しかし、1979年にはそのハイブリッド生産も完全に終わり、ブランドとしては一旦幕引きとなりました。
・そこから約20年後…1999年にロベルト・ジレッティによってブランドが復活し、大企業のような規模ではなく、数人のやる気のある人材と機械、そして優れた設計と試験体制を整備し、ホンダVTR1000SP-1エンジンを搭載した「ピエガ1000」を制作しました。このときの逸話がありまして、1957年ホンダが困っていたときにモンディアルが当時レースで活躍していたバイクを提供した歴史があります。
・そのこともあって、今度はモンディアルが困っていたことから、昔助けてもらったホンダが自社エンジンを提供するに至ったようです。長い歴史の中で、ホンダが他社へエンジンを提供するのはこれが初めてでした。ホンダとモンディアルがこのような形で関わりあっていたとは熱い話ですね。現在は、Kawasakiがイタリアのビモータを助けたため、日伊共同バイクが生産されていますよね。これ以上は話がかなりそれるので、F.B Mondial(F.Bモンディアル)のまとめはまた別に機会に。
F.B Mondial PAGANI300について
・goobikeなどでは「PAGANI300(パガーニ300)」と表記されることも多いですが、公式などによると正式には「Pagani1948(Sport Classic 300)」であり、それを略して「PAGANI300」となります。
・このPAGANI300は、名前の通りだと「300ccのバイクかな?」と思われがちなのですが、実際には250ccクラスのバイクであり、日本限定モデルでもあります。ちなみに「PAGANI125」というapriliaの125ccエンジンを積んだ原付2種バイクもあります。ルックスはほとんど一緒ですね。ちなみに、最初の125cc世界選手権で優勝したドライバーである「Nello Pagani」への敬意を表して名付けられているそうです。
エンジンについて
・PAGANI300のエンジンは先述の通り、日本規制に合わせた250ccという嬉しいところ。この250ccエンジン、実は中国アプリリア(中国ピアジオ)産のようです。というのも、F.Bモンディアルは中国生産でして、その生産を請け負っているのが中国アプリリアの工場なのです。つまり、大本を辿れば、宋申(ゾンシェン)関係ということですね。
・中国アプリリアの250ccフルカウルスポーツバイク、アプリリアの「GPR250R」は、水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載しているバイクで、馬力は27.9PS(9,000rpm)、最大トルクは21.5N.m(7,500rpm)となっています。
・PAGANI300のエンジンは、水冷DOHC4バルブ単気筒エンジン、馬力23.1PS / 8,500rpm、最大トルクは22.5 Nm / 6,500 rpmとなっており、最大出力こそ劣っているものの、最大トルクはPAGANI300のほうがGPR250Rより大きいエンジン特性となっています。おそらくボア・ストロークなどは違いますが、元は同じエンジンなのでしょう。これは、弟分であるPAGANI125や他のモンディアル車である125ccのオフやネイキッドバイクのエンジンはアプリリア製を搭載していることからも裏付けられていると思います。
※こちらは125ccのパガーニです。ルックスはエンジン以外ほぼ変わらないですね。惚れ惚れするデザインです。欲を言うならば、デザインされたLEDヘッドライトの採用や楕円っぽいライトの形を丸くしてくれると個人的には嬉しいですね。そうすると別のバイクとなってしまいそうですが笑
その他のスペックについて
・公式サイトによると、全長 2,009 mm、全幅 800 mm、全高 1,146 mm、ホイールベース 1,360 mm、最低地上高 130 mm、シート高 804 mm、装備重量は154kgとなっています。燃料タンクは9.5リットルと、他の250ccクラスのバイクに比べると明らかに少ないです。
・原因としてはこの素晴らしいイタリアンテイストをルックスに表現するとタンク容量が確保できなかったのでしょう。ただ、このクラス帯の単気筒エンジンなので、燃費は良さからそれほど困ることはないようです。
・F.Bモンディアルのバイクは、PAGANIの他にもかっこいいバイクがたくさんあるため、また別の機会にまとめていきたいと思います。個人的にはアプリリアのGPR250Rが一番欲しいのですが、次点はこちらのPAGANI300ですね。こちらは正規販売店で買うことができますので安心です。
・ホームページによれば、PAGANI300はユーロ4対応のバイクなので、まだユーロ5に対応できていないのでしょうか。
➡現在はカタログ落ちしているようですね。