- 1 Nortonの歴史
- 2 「EICMA2025」で発表される予定のNortonの新型4台
- 3 EICMA2025 最後の1台は?(予想・妄想)
- 4 当初6台と言われていたが、残りの「2車種」はどうなる?
- 5 名称の出願・商標の動向
- 6 TVSモーターの取引所開示(BSE/NSE)
- 7 デザイン責任者:「Simon Skinner」とは?
- 8 総括アドバイザー:「Gerry McGovern OBE(大英帝国勲章)」(ジェリー・マクガバン)とは?
- 9 新型バイクは、英国ソリハル工場で「生産開始」 *いつ発売?
- 10 ちなみに、既存3車種(V4SV/V4CR/Commando 961)はどうなるの?
- 11 参考・引用(情報ソース)
Nortonの歴史
・Norton(ノートン)の創業は1898年。場所は産業都市バーミンガム。
・最初は自転車やオートバイ用の部品を手がけ、やがて他社製エンジンを載せた小排気量車を作り始めます。
・黎明期の英国メーカーらしく、実直で頑固、けれど改良を重ねて前に進む姿勢を崩さないといった英国文化の象徴……それがNortonの原点でした。
・1907年の第1回マン島TTでは、ノートンの名を刻む快走が話題を呼び、以後「レースで勝ち、市販車を磨く」という循環がブランドの方向性そのものとなっていきました。
・日本の4大メーカーもレースと昔から市販車がつながっていますよね。
・1920〜30年代、ノートンはレース活動を通じて「OHCユニット」や「高剛性フレーム」の思想を育て、戦前の名車「インターナショナル(International)」や、戦後に伝説となる「Manx(マン島由来)」へと昇華させていきます。
↓Norton 「International」↓
・戦後~サスペンションや車体設計の革新も相まって、英国車の美点である「細やかな路面追従性としなやかな操縦感」が特にNortonの「売り」になっていきます。
・1950年に登場した「フェザーベッドフレーム」はその象徴です。

引用元:https://en.wikipedia.org/wiki/Featherbed_frame
・この命名については、マン島TTレースで大活躍していた優秀なレーサーであるハロルド・ダニエルが、1950年に新しいノートンフレームをテストした後、「羽毛布団に乗っているようだ」と述べ、それ以来このフレームが「フェザーベッドフレーム」と呼ばれるようになりました。
・ベッドの上の羽毛のように滑らか、という名の由来どおり、操縦安定性はのちの世界のフレーム作法に強い影響を与えました。
・1967年~、「コマンドー」はノートンのもう一つの代表作として姿を現します。並列二気筒の荒々しさを「アイソラスティック」という独創的マウントでいなすことで、高速巡航でも疲れにくい乗り味をもたらしました。
↓アイソラスティックフレーム↓

引用元:https://en.wikipedia.org/wiki/Norton_Isolastic_frame
・その後、750ccから850ccへと展開したコマンドーは、実用速度域で気持ちよく弾むようなトルク感、そして英国車らしい存在感で人気を博します。
・この時代は日本勢の4気筒大型バイクが台頭し、数値の競争では多気筒化する日本勢に押されても、手の内で操る愉しさという別の価値軸を提示し続けたのがノートンでした。
・とはいえ、1970年代の産業再編と不況の波は容赦なく、ノートンは合従連衡の渦中に巻き込まれます。
・生産の混乱と市場の嗜好変化は、古典的な英国ツインには厳しい逆風でした。けれど、ここで終わらないのがノートンです。
・1980〜90年代、「ロータリーエンジン」という異色の挑戦で警察用車両やレースの世界に再び足跡を残し、1992年のマン島TTシニアで繰り広げられた死闘は、ノートンの名を再び熱く語らせる出来事になりました。
・「革新と執念」、そして「少量生産の技術力」……この組み合わせは苦しい時代でもノートンをノートンたらしめる核だったのだと思います。
・それから2000年代には少量ハンドビルドによる復活の試みが続き、2008年の再興とともに「コマンドー961」が現代の基準で再解釈されます。
・クラシックな輪郭に最新の足回りを与える方法論は、多くの英国車ファンを惹きつけました。しかし、運営の難しさは残り、品質や経営をめぐる課題も噴出します。
・その転機が2020年、インドの「TVSモーター」による買収でした。インドのTOPメーカーの1つであるTVSは、BMWとも協働しているように、その品質や資本力はとても強いものです。

・「Nortonブランド買収」により、親会社となった「TVSモーター」は、ブランドのため「英国」への投資計画を発表しました(2025年10月・英政府公式発表)
・2025年10月8日、英政府は、TVSモーターが今後5年で2.5億ポンドを英国に投資し、Nortonやe-bikeを含む高付加価値領域で300人の雇用創出を見込むと発表しました。
・これはソリハル工場・拠点の拡充が国家レベルの産業政策とも噛み合っていることを示していますね。
・TVSの巨大資本と生産管理、英国ソリハルの新工場……と、ノートンは現代的な品質システムを重ね合わせる土台を得ることにつながりました。
↓英国ソリハルの新工場↓
・そして今、ノートンは次の段階に入ろうとしていますね。
・様々な海外サイトによると、伝統のある車名である「マン島(Manx)」や「アトラス(Atlas)」が新しいバイクとして復活するという状況まできています。

引用元:https://en.wikipedia.org/wiki/Norton_Manx

引用元:https://en.wikipedia.org/wiki/Norton_Atlas
・120年以上続くNortonの物語の最新ページにはどんなバイクが入ってくるのでしょうか。とりあえずEICMA2025がとても楽しみですね。
「EICMA2025」で発表される予定のNortonの新型4台
・NortonはEICMA2025で「新世代ラインアップ」の披露を予告してますね。

引用元:https://nortonmotorcycles.com/
・EICMAの会期は2025年11月4日〜9日です。11月4日・5日がプレスなので、そこで発表ですね。
・発表されるバイクの名前は……以下4台が噂されています。
①Manx(V4エンジン)
②Manx R(V4エンジン)
③Atlas(600-700クラスのツインエンジン)
④(名称不明)
*V4系については1kg/HPという話
・なお、Atlas(2026年投入見込み)は旧体制期にあった650ツインAtlasとは無関係で、「完全新設計」と噂されています。見た目は少しは当時の要素を入れてくるかもしれません。
EICMA2025 最後の1台は?(予想・妄想)
・「Electra」
・直近の出願(2024年)→2025年に各社が相次ぎ報道。すぐ使える名前となっている。
・歴史名(1963–65 Norton Electra)の復活ネーミングとして、ネオレトロ感が出せそう。現に、ネオレトロ系では?といった海外記事あり。
・「Combat」
・出願はElectraより早い(2023年)が、本来は「Commando 750」の高出力仕様の派生名として使われていた。
・インド量販セグメント(350–400cc級想定)の名称として各メディアが予測している記事が多い。
当初6台と言われていたが、残りの「2車種」はどうなる?
・ノートン・モーターサイクルズ公式による上記プレスの自己紹介文(以下)によると、
| 「650SS、Atlas、Commando、Dominator、Manx、Navigator 」など英国モーターサイクル史を代表する名車を製造し続け、軽量化と高剛性に資する技術革新を積み重ねてきました。 |
| モータースポーツにおける比類ない歴史を持ち、ノートンの名はマン島TTレースと同義といえるほど親密な関係にあります。 |
と記載があります。
・今回EICMA2025発表予定の4台のうち3台の車名がここにあるということは、この歴史あるネーム群が新型バイクに適用される可能性は結構高いのではないでしょうか。
・この紹介文や商標申請の状況から残りの新型2台や今後それ以上に展開していきそうなネームが明らかになりつつありますね。
・「650SS」
・「Dominator」
・「Navigator」
・「Electra」
・「Combat」 このあたりが次期車種の名前になってもおかしくはないと思います。
名称の出願・商標の動向
| 名称(出願表記) | 区分 | 出願先/国・地域 | 出願日・公報等(最古) | 現況(報道/公報の記述) | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Norton Electra(欧州) | ニース第12類(車両等) | EUIPO(欧州) | 2020年10月(報道) | EUでの一括出願群の一つとして報道確認 | インドで別途、「Electra」を出願 | |
| Norton Fastback(欧州) | 第12類 | EUIPO(欧州) | 2020年10月(報道) | 報道でEU出願確認 | 往年の「Commando Fastback」の復活 | |
| Norton Navigator(欧州) | 第12類 | EUIPO(欧州) | 2020年10月(報道) | 報道でEU出願確認 | 1960年代の「NAVIGATOR」復刻 | |
| Norton Nomad(欧州) | 第12類 | EUIPO(欧州) | 2020年10月(報道) | 報道でEU出願確認 | 「Atlas Nomad」など既存派生にも通じる名称 | |
| Norton Ranger(欧州) | 第12類 | EUIPO(欧州) | 2020年10月(報道) | 報道でEU出願確認 | 「Atlas Ranger」(2018年発表)とも整合する | |
| Combat(欧州) | 第12類 | EUIPO(欧州) | 2020年10月(報道) | 報道でEU出願確認(群の一つ) | 「Commando Combat」(1972年型)に由来する歴史名 | |
| Norton Combat(インド) | 第12類 | IP India(インド) | 2023年7月(商標ジャーナル記載と報道) | 出願済み(報道)。RE 350競合想定の文脈多し | 報道は2023年7月~ | |
| Norton Electra(インド) | 第12類 | IP India(インド) | 2024年10月(出願)/2025年6月(報道) | ステータス「Formalities Chk Pass」等の報道あり | 1960年代「Norton Electra」の名称復活 | |
| Dominator(インド) | 第12類(推定) | IP India(インド) | 2023年(報道) | 包括的商標群の一つとして報じられる | 「Commando / Atlas / Manx / Nomad / Navigator / Ranger」も並行して報道 | |
| 650SS | — | — | — | 現時点で現行出願の一次確認は未発見(歴史モデル名) | ー | |
| Norton Navigator(インド) | 第12類(推定) | IP India(インド) | 2023年(報道) | 包括的商標群の一つとして報じられる | EUIPO 2020出願とも整合 |
・このあたりの商標が。今後のNortonの新型バイクになっていくでしょう。
・1つずつネーミングを振り返ってもあまり今回の新型のデザインには影響しなさそうなのでこの辺で。
TVSモーターの取引所開示(BSE/NSE)
・「Resurgence公式スケッチ公表」(2025年10月22日)
・親会社「TVS Motor Company」が2025年10月22日 に取引所(BSE/NSE)へ開示した資料には、Nortonの「Resurgence計画」の一環として「新フラッグシップ・スーパーバイクの最初の公式デザインスケッチ公開」、および「2025年11月のEICMAで全く新しいレンジ(モデル群)を発表」すると明記されていました。
| 新スーパーバイクがこの発表を牽引し、新たなデザイン哲学と再構築されたブランド・アイデンティティの到来を告げます。(引用まま) |
・生産地は先ほど上記にも記載しました「英国ソリハル(Solihull)」で、デザインは「Head of Design: Simon Skinner」、総括は「Professor Gerry McGovern OBE」と発表。
・ブランドアイデンティティの再設計やモダンなデザインへの刷新が計画されているとのことです。

・デザイン総括の「Simon Skinner」によるスケッチ↑
引用元:https://bsmedia.business-standard.com/_media/bs/data/announcements/bse/22102025/28744cef-0c4e-4520-994f-6c0a93f83b7f.pdf
デザイン責任者:「Simon Skinner」とは?
・新生「ノートン」のデザイン責任者(非取締役)
・Simon Skinnerさんは、元「Triumph」のデザイナーらしいですね。
・これまでのデザインとしては、復活版の「Commando 961」に関わっており、1200ccのV4系である「V4 RR/V4 SS(第1世代)」の造形・パッケージの方向付けに深く関与していたとのこと。
・これはのちの「V4SV/V4CR」に続く「英国ハイエンド路線」の基礎を作ったとされています。
・2018年~の「Atlas 650(Nomad/Ranger)」など並列2気筒レンジにも関与していたようです。
・Simon さんは、「ヘリテージ×モダニティ」を繰り返し強調し、英国的な上質感やプロポーション・スタンスを核に、現代の素材・空力処理・電子制御と整合させる方針を掲げています。
・過去の取材ではDucati に正面から挑む意識を明言(V4系ハイエンドの世界観)していたこともあったようです。
・ただ、2021年、旧ノートン体制期の不祥事に関連し、英国インソルベンシー・サービス(破産庁)の手続きにより、「会社取締役の資格停止(5年間)」の措置を受けています。
・これは「取締役としての就任を禁じる」行政処分であり、デザイン職の雇用そのものを禁じるものではありません。
総括アドバイザー:「Gerry McGovern OBE(大英帝国勲章)」(ジェリー・マクガバン)とは?
・ノートンの「Chief Creative Advisor(チーフ・クリエイティブ・アドバイザー)」=ブランド全体の創造面を統括的に助言する最上位のクリエイティブ顧問の就任者はProfessor Gerry McGovern OBE(ジェリー・マクガバン)です。
・ノートンの再始動プログラム「Resurgence」においてデザイン哲学と再構築されたブランド・アイデンティティの方向付けを担い、取締役会とデザイン責任者(Simon Skinner)に並走しながら、継続的に関わっています。
・マクガバン氏はJLR(Jaguar Land Rover)のChief Creative Officerを今も続けており、レンジローバー・ディフェンダー等を率いてきた「英ラグジュアリー系デザイン」の第一人者です。
・ノートンでの肩書きはフルタイムの部門長ではなく、最上位の「助言」という役割である点がポイントです(=日々のラインマネジメントはスキナー氏が担い、マクガバン氏は指針づくりと重要局面に関与・助言するといった立ち回りになると思われます。
新型バイクは、英国ソリハル工場で「生産開始」 *いつ発売?
・ソリハル本社の大規模リフィット(改修)を実施し、「年内の生産開始に備える」と記されています。
・さらに2025年10月22日付(Autocar India)で、ソリハルでの「生産がすでに始まっている」との報道もあります。
・もしすでに「生産開始」しているのであれば、発売まではそう遠くなさそうですね。
・今の流れでいけば、「2026年度発売」できそうな感じですよね!楽しみですが、日本で買える未来は来るんでしょうかねぇ。
・Triumphが日本では成功していると言っても良いと思うので、英国ブランドとしてぜひ日本にも来ていただきたいところです。
ちなみに、既存3車種(V4SV/V4CR/Commando 961)はどうなるの?
・2025年9月3日に、V4SV/V4CR/Commando 961の生産終了が公式コメント付きで報道されました。
・最終ロットはディーラー向けに完売とされ、旧ラインを畳み、新レンジに注力する施策が一気に進んだ格好です。
・よって、旧レンジのバイクたちの「販売終了」は確定路線のようですね。
参考・引用(情報ソース)
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Magol, D.(2025年10月22日). Four new Norton bikes to be revealed at EICMA 2025. Autocar India. Autocar India
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Kartik, A.(2025年10月24日). TVS eyes shift to top gear with plans for Norton’s revival. Mint(LiveMint.com). mint
-
Rodrigues, G.(2025年6月17日). Norton Electra trademarked in India. Autocar India. Autocar India
-
HT Auto Desk(2025年6月18日). Norton Electra name trademarked in India. HT Auto. HT Auto
-
Punsalang, E.(2025年6月23日). Norton’s “Electra” Trademark In India Might Spark a Small Bike Renaissance. RideApart. RideApart.com
-
Rizvi, A.(2025年10月27日). Norton Motorcycles To Debut In India By April 2026 With New Lineup. MotorBeam. motorbeam.com
-
Purvis, B.(2025年6月9日). Norton Planning Six New Models: TVS ownership opens future of brand, including BMW-powered 450 twins. Cycle World. Cycle World
- Venugopal, V.(2020年11月2日). Norton Motorcycle files trademark for 6 names. Autocar India.